
2020年製作
製作国:ボスニア・ヘルツェゴビナ、他合作
ジャンル:歴史
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ
【自己評価(10点満点中)】
★★★★★★★☆☆☆(7点)
主要キャスト
・ヤスナ・ジュリチッチ(アイダ・セルマナギッチ)
・イズディン・バイロヴィッチ(ニハド・セルマナギッチ)
・ボリス・レアー(ハムディヤ・セルマナギッチ)
・ディーノ・バイロヴィッチ(セヨ・セルマナギッチ)
・ヨハン・ヘルデンベルグ(カレマンス大佐)
・レイモント・ティリ(フランケン少佐)
・ボリス・イサコヴィッチ(ムラディッチ将軍)
あらすじ
1992年、ボスニア・ヘルツェゴビナによるユーゴスラビアからの独立に端を発したボスニア紛争において、同国に元々共存していたムスリム人、セルビア人、クロアチア人は、宗教や民族の違いから軍事衝突に陥った。
多くのムスリム人が住むスレブレニツァの町は、国連軍の管理の下、非武装地帯とされた。
そんな中、紛争前は地元高校の教師だったアイダは、国連軍の基地で通訳として働いていた。
しかし、1995年7月6日、スレブレニツァの町は突如としてセルビア軍の侵攻を受け、11日には中心部を制圧されてしまう。
国連軍の基地には収容可能人数を遥かに上回る数万の人々が避難のために押し寄せ、その中にはアイダの夫と2人の息子もいた。
基地は避難民で瞬時に埋まり、多くの人々は外に放置されてしまう。
アイダは自身の立場を利用し、家族を基地に入れる事に成功するが、外に取り残された人々はセルビア軍によって男女に分けられ、次々とバスで何処かへ連れ去られてしまう。
感想
1990年代に東ヨーロッパにて勃発したボスニア紛争において、ムスリム人およそ8,000人がセルビア軍によって殺害された「スレブレニツァの虐殺」を描いた映画です。
物語は、アイダという一人の女性の視点で進んでいきます。
国連軍の基地で通訳として働いていたアイダは、セルビア軍の侵攻を受けて避難してきた人々の中に家族がいると分かり、彼らを救う為に奔走します。
国連軍の通訳という自身の立場を利用して家族をひとまず基地内に避難させますが、その後、彼らには過酷な運命が待ち受けていた、というストーリーです。
この映画で印象的だったのは、民族紛争の恐ろしさと、国連軍の無力さですね。
同じ町で一緒に仲良く暮らしていた人々がある日突然敵同士になる。日本ではおよそ考えられない状況ですが、これが現実に、それも1995年という、割と最近起こったという事が衝撃ですね。しかもヨーロッパの地で。
劇中でアイダは基地内で昔の教え子に声を掛けられるのですが、その教え子はセルビア人で、兵士として手には銃を持っているという状況です。昔は先生と教え子の関係だったのが、今では敵同士。アイダの気持ちを考えると、何ともやりきれない思いです。
そして、セルビア軍の突然の侵攻を見ているだけしか出来ない国連軍。一応、空爆の警告はするものの、実際には何も動かない、というより動けない。この辺りの描写は、仕方ないとはいえ観ていてただ無力感しか感じませんでした。
こういう状況では、綺麗事や正論なんてのは一切通じないのだということを思い知らされるシーンです。
そして終盤の虐殺のシーン、直接的な描写がありませんでしたが、観ていてとても苦しいシーンでした。ラストでは一応内戦も終わり平和になったものの、これからアイダがここで生きていくことの過酷さがある形で表現されていて、かなり重い最後だったと思います。
何度も観たくなるような映画ではありませんが、一つの歴史として観ておくことをお勧めします。
